膝の痛みと日常生活

膝(ひざ)の痛みの原因は、先に説明したように変形性膝関節症によるものがほとんどです。また、この変形性膝関節症は、大腿骨と頸骨それぞれの骨の端に存在する関節軟骨が擦り減りへる事が原因で発症します。

つまり、この関節に存在する『軟骨』をすり減らさないようにするのが膝の痛みを防ぐ事に繋がるわけですが、これがなかなか難しいのです。関節軟骨は老化によって次第に衰えていきますし、日常生活の習慣によっても擦り減ってしまう事が多いからです。

膝軟骨をすり減らす原因として考えられるのが、体のバランスです。考えてみてください。人間が立ったり座ったり、そして歩いたり走ったりという基本動作をするときに一番負担のかかる部分がどこかという事を。そう、もちろん膝ですね。体のバランスが崩れると、一番負担のかかる膝に変な方向から圧力が掛かってしまうのです。例えば、肩掛けカバンをずっと同じ方向にかけていると、自分では気付かないうちに左右どっちかに寄ったバランスを取っています。猫背の場合は体が少し前のめりになるので、バランスを取ろうと膝を少し曲げて歩くことになります。

また、女性に多く見られるO脚も膝の痛みの原因となります。O脚の場合、足の筋肉のバランスが崩れ、足の内側に体重が乗ることになります。すると、足の内側の軟骨が擦り減るスピードが早くなってしまいます。

最後に肥満。肥満も膝の痛みの原因として考えられます。肥満になると体重が思いので、通常体型の人より膝に負担がかかります。また、肥満の方は食生活のバランスが崩れている場合が多いので、膝軟骨を構成するコラーゲンが不足する傾向にあるのです。

これら日常生活の小さな積み重ねによって、膝軟骨は日々減少しているのです。水滴が同じ部分に落ち続けると石が凹んだり、長い年月を掛けて鍾乳洞ができるのと同じで、少しずつ少しずつ、膝に負担がかかっているというわけです。